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ポジティブサイコロジー

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ポジティブサイコロジー

2012年9月18日に開催された発足記者会見の報告をご参照ください。

ポジティブサイコロジーとは何か?

ポジティブサイコロジーとは、“ポジティブ(明るく前向きに捉えること)” と “サイコロジー(心理学)” を組み合わせたもので、心の中のプラスの部分に目を向けることを研究する学問です。

従来心理学は、うつや不安などのマイナスの部分に目を向け、それを解決していく学問でしたが、人間の本来持っている力に目を向けることで、より良く生きていくことができるという考えから生まれたのが、ポジティブサイコロジーと言えます。 ポジティブサイコロジーは、「ポジティブサイコロジーの父」と呼ばれている心理学者、マーティン・セリグマン博士(Martin Seligman)が提唱してアメリカを中心に広まり、2007年に International Association of Positive Psychology(IPPA・国際ポジティブサイコロジー協会) が設立されました。現在は、心理学だけでなく、医学や科学など様々な面から研究されるようになっています。

その後、日本にもこの考え方が知られるようになり、日本ポジティブサイコロジー医学会(2012年7月設立)が発足して、主に医師を中心に活動を行っています。

これまで、医学の分野でも病気、悩み、苦しみ等のマイナスの部分に目が向けられてきました。今後、自然治癒力や回復力、あるいは心の自己コントロールにも科学の目を向け、これらを生かせるような健康法や治療法を確立できれば、より人々のQOL(生活の質)が向上すると考えられます。


マーティン・セリグマン教授とは?

マーティン・セリグマン博士は、「学習性無力感(Learned Helplessness)」を提唱したことで知られる心理学者です。「学習性無力感」とは、「一生懸命努力をしても成果が得られないと、だんだんとやる気がなくなっていく」、「長期にわたってストレスフルな環境におかれた人は、その状況から逃れようとする努力すらしなくなる」というものです。

やる気がなくなる背景には、「いくらやっても報われない」、「自分は駄目だ、無力だ」という事を学習して、益々やる気を失ってしまうという事があります。

これに対し、マーティン・セリグマン教授は、乗り越えるためにプラスの力、ポジティブな力が大事だということを提唱しました。ただし、単純にプラス思考でいればいいという訳ではなく、現実を直視しながら、プラスの部分を少し多めに、マイナスの部分にもバランスよく目を向ける事が大切であると説いています。


ポジティブサイコロジーの科学的な実証は?

ポジティブサイコロジーは、実は心理学だけではありません。心の動きの背景には脳の動きがあるので、脳科学、生物学を含めて研究が進められています。

アメリカの研究で、幸せ感の強い人は長生きをするのか?という研究が行われており、有名なものとしては、長期に渡って研究された、Nun(尼僧) Study があります。修道院の尼さんたちは、皆同じ環境で、同じスケジュールで生活をしていますが、彼女達の日記を検証したところ、日記にプラスの記述が多い人ほど長生きをしているという傾向が認められました。 プラスの部分に目を向けている人は、体の調子も良くなり、病気になりにくく長生きすることに繋がる。これは逆に言うと、マイナスの部分ばかりに目を向けていると、気力が落ち、免疫が落ちたり自律神経が乱れたりする。これは、ストレスがたまると風邪をひきやすくなるということにもつながります。つまり、ストレスを上手くコントロールすることができれば、病気にもかかりにくくなり、それが健康と長生きにつながってくると言うことができます。

日本でも、生活を楽しんでいる人ほど長生きするという研究があります。ただ長く生きればいいという事ではなく、楽しみながら健康に長く生きられれば一番いい。そういったプラスの力を発揮するにはどうすればいいのかを具体的に提示できるように、今後の研究が期待されます。

すでに、認知行動療法の領域では、考え変え方を切り替えるという方法を使えば、やる気が出て、パフォーマンスを上げることができるという研究結果も出てきています。現在、やる気が出てきたときの脳の働きなども検証されており、今後はさらに、脳科学や生物学、遺伝子学なども取り入れながら、様々な分野の研究者により学際的な研究を目指しています。


プラスの部分に目を向けるのはなぜ?無理にポジティブになる必要はあるのか?

もともと人間はよくないことに目を向けがちです。それは、昔から生き延びていくためには危険を回避することが重要で、必要かつ重要な行動・思考でした。

しかし、狩猟をしていた次代と現代とでは、生活環境が大きく異なっています。現代人はたとえばオフィスでは常に戦闘態勢でいるような状況があります。仕事や人間関係で起きる様々な出来事を、どう捉えていくかは、非常に重要な事であり、それがうまくできないと精神的なバランスが崩れてうつになったり、胃腸炎を起こしたりするなど、心身の健康を害してしまいます。そうした社会や環境との接し方について考えたり学んだりトレーニングしたりする機会は今まであまりありませんでした。そういった生活環境における心のあり方、健康にも、ポジティブサイコロジーは大きく関わってくるものと言えます。

ただし、ポジティブサイコロジーは無理にポジティブになろうというものではありません。プラスの面ばかりに目を向けていると、重要な問題に目が向かなくなってしまいます。現実を丁寧に見ながら、プラスとマイナスの両面にバランスよく目を向けていくことが重要です。


今後のポジティブサイコロジーの展望

現在、会社や学校などの日常生活で、プラスの感情を維持させる、また、仲間意識を育てるような研究もおこなわれています。マウスを使用して、幸福感を感じているマウスと辛さを感じているマウスを比べ、脳や体にどのような変化が起こっているかを研究している研究施設もあります。

今後、人間の脳でも検証が進み、実証をしていくことで、ポジティブサイコロジーという学問がより明確な形を呈し、現代社会に有意義なひとつの指針となって人々の生活に役立てられる日がくることでしょう。

今後、ポジティブサイコロジーを心理的な面だけでなく、脳・肉体などを科学的に研究してその効果を医学的に検証し、そしてさらにはその方法論を構築し、社会に広めていくことは、これからの日本と世界の人々の心身の健康と社会の平和に大きく役立つものと考え、この研究に力を注いでいます。

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